認可保育園とは?公立や私立の違いなどわかりやすく解説!

認可保育園とは?公立や私立の違いなどわかりやすく解説!

保育園を運営するにあたって、認可保育か無認可保育園かどちらの保育園で創設するか悩んでいる事業者も多いです。今回は認可保育園に焦点を当てて、設立するために必要な基準や、保育園の種類などをまとめました。

保育事業をはじめるために、認可されるにはどのような基準が必要なのか、どの種類を運営するか参考にしてみてください。

認可保育園ってどのような保育園?

認可保育園とは、国から定められた設置基準を満たして、都道府県知事から認められた(認可された)施設のことです。

子どもの安全を考えた厳しい項目をクリアし、細かく定められた規定に沿って運営するため、保護者にとっては融通が効きにくいという特徴もあります。

たとえば、保育時間に制限があったり、保育の必要性が認められた子どもしか入れないなど、保護者にとってはデメリットな部分も存在します。しかし、しっかりとルールが定められている点では、保育者が働きやすい環境であるとも言えるでしょう。

認可保育園は、高い基準をクリアしているからこその安心感もある上に、保護者の収入によって保育料も変わるため、認可保育園を第一候補で保育活動を進める保護者が多いです。

認可保育園の運営をするメリットとしては、国や自治体から補助金が支給されるという点です。厳しい基準をクリアできれば、保育士さんへの給料や運営費なども安定して支払えます。

認可保育園にはどのような基準があるのか?

クレヨンと落書き

認可保育園は厳しい基準項目があると言われていますが、実際にはどのような項目があるのでしょうか。表にまとめてみました。

対象となる子ども0歳から6歳(就学前)の児童
職員配置基準・0歳:3人に保育士1人(3:1)
・1,2歳:6:1
・3歳:20:1
・4歳以上:30:1
※3歳は15:1の実施で加算あり
※保育士は最低2人以上配置※保育士の他嘱託医及び調理員が必置
設備の基準0,1歳のいる保育所
・乳児室またはほふく室及び調理室乳児室:1.65㎡以上/人
・ほふく室:3.3㎡以上/人
2歳以上を入所させる保育所
・保育室または遊戯室及び調理室保育士or遊戯室:1.98㎡以上/人
給食自園調理または委託(委託の場合は調理員のは位置は必須ではありません)
職員の資格保育士資格所有者(保健師または看護師などの特例1人まであり)
参酌すべき基準・屋外遊技場の設置
・必要な用具の備え付け
・耐火上の基準
・保育時間
・保護者との密接な連絡

上記表は、厚生労働省が提示している基準となります。自治体によっては異なる部分がある可能性があるので、詳しくは事業予定地にお問い合わせください。

また、認可保育園の中でも、認定こども園や地域型保育事業に関しては、認可基準が異なります。のちほど保育園の種類で詳しく紹介します。

認可保育園にはどのような種類があるのか?

認可保育園と呼ばれる保育園にも、いくつか種類があります。

認可保育園は、大きく分けると

  • 認可保育所
  • 認定こども園
  • 地域型保育事業

上記3つの種類に分けられます。

それでは、それぞれの保育園の特徴について、説明していきます。

認可保育所とは?

赤ちゃん

認可保育所に分類されるのは、公立保育園と私立保育園と公設民営保育園の3種類です。

公立保育園

公立保育園は、各自治体が直営しており、働く保育士さんは公務員となります。保育士資格にプラスして公務員の資格も必要です。公務員なので長く働く保育士さんが多いため、保育士の質という部分でも安定した保育が見込めます。

私立保育園

私立保育園は、法人が運営している保育園です。社会福祉法人やNPO法人が主に経営母体として多かったのですが、最近では一般企業でも保育事業へ参入するというケースも目立ちます。

保育士資格を持っている保育士さんが、それぞれ運営元の面接や試験を受けて、正社員または契約社員として働いています。

公立と違って、一律で同じ教育目標があるわけではないので、各保育園のカラーに違いが持たせられます。英語やリトミックを取り入れたり、仏教やキリスト教など宗教観を取り入れたり、さまざまな特色のある保育園が存在します。

公設民営保育園

公設民営保育園とは、公立保育園を民営化した保育園のこと。自治体が、法人などの民間に業務を委託して運営している保育園です。

公立保育園を運営するよりもコストカットができるため、近年増えている保育園といえます。

認定こども園とは

保育士3人

認定こども園とは、簡単にいえば幼稚園と保育園の特徴をどちらも持ち合わせた施設です。

管轄も内閣府とされ、厚生労働省と文部科学省のどちらも関与しています。

認定こども園は、

  • 幼保連携型
  • 幼稚園型
  • 保育園型
  • 地方裁量型

上記の4つのタイプにわけられます。

地域の環境や、保護者のニーズによって選ぶ認定こども園が代わってきます。

それぞれどのような特徴があるのか、1つずつ紹介していきます。

幼保連携型

幼稚園と保育園どちらの機能も併せ持っている認定こども園です。

独立したものとなっていて、児童福祉施設であり教育機関として、厚生労働省と文部科学省から認可を受けています。

幼保連携型の場合、保育者は幼稚園教諭と保育士資格の両方が必須になります。

幼稚園型

すでに幼稚園として運営されていた施設に、保育園の機能が備えられた認定こども園です。

教育機関としての位置づけで、幼稚園教育要領に基づいた教育をおこないます。

保育が必要な子どもは長時間預かることができ、幼稚園と違って0歳から入園が可能です。

満3歳未満を保育する場合には、保育士資格が必須とされています。また、満3歳以上を保育する場合には、幼稚園教諭と保育士資格の併有が望ましいとされていますが、どちらかを持っていれば働くことが可能です。

保育所型

すでに認可保育園として運営されていた施設に、保育の必要性が必須ではない子どもも預かれる幼稚園としての機能が備えられた認定こども園です。

児童福祉施設としての位置づけで、保育所保育指針に基づいた保育をおこないます。

保育者の資格に関しては幼稚園型と同じとなります。

地方裁量型

すでに運営していた認可されていない保育園や幼稚園が、認定こども園の機能をもった施設です。待機児童解消のために、増えているようですが、まだ数は多くありません。

園によってさまざまな特色があり、教育や保育の方針の違いを大きく出すことができます。

地域型保育事業

赤ちゃんを抱っこする保育士

地方型保育事業は、2015年よりスタートした「子ども・子育て支援新制度」の中で作られた制度の1つです。

今まで認可の対象とされなかった小規模保育園などが対象となり、待機児童問題の起こりやすい0歳から2歳児を受け入れ幅を広げることができました。

認可外だった保育所も、地域型保育事業の制度によって認可されやすくなりました。

地域型保育給付という形で、基準を満たせば国から補助金を受け取ることができます。

小規模保育事業

小規模保育園は、0歳から2歳までの子どもを対象とし、定員が6から19人とされた小さな保育施設です。

施設を設置する場所はマンションやビルの1階など、認可保育所に比べて運営できる場所が多く存在しています。運営元としても、自治体だけでなく、民間事業者の参入が多い保育事業といえるでしょう。

運営基準がA型、B型、C型の3つに分けられているのも特徴的です。

ABCの割り振り基準は、職員における保育士資格の有無が主な基準となっています。

小規模保育園A型の場合

職員の数は、0歳児3人に対して保育士1人、1・2歳児6人に対して保育士1人の設置を基準とし、プラス1人が必要になります。働く保育士は全員保育士資格が必須です。

小規模保育園B型の場合

職員の数は、0歳児3人に対して保育士1人、1・2歳児6人に対して保育士1人の設置を基準とし、プラス1人が必要になります。働く保育士は半分以上が保育士資格を持っていなければなりませんが、残りの半分は保育士資格がなくても働くことが可能です。

小規模保育園C型の場合

職員の数は、0歳から2歳まで年齢問わず3人に対して保育士1人が設置基準となっています。補助者を置く場合は、子ども5人に対して2人と設定されています。

働く保育士の保育士資格の有無は指定されていません。

小規模保育園は、少ない人数を受け入れることでアットホームな関係で子どもを保育できるのが特徴的です。また、運営の自由度が高いため、英語など園独自の教育を取り入れている保育所も多いです。

家庭的保育事業

家庭的保育所は、保育ママとも呼ばれている保育施設です。少人数で、保育士1人につき3人まで受け入れる事が可能です。※家庭的保育補助者を置く場合は、子ども5人に対して2人となります。

家庭での育児とあまり差がなく、家庭的な雰囲気のもとで少人数制の保育を提供できます。保育所も保育者の居宅など、自宅でおこなっている人も少なくありません。

保育士資格は必須ではありませんが、保育ママになるためには、自治体がおこなう保育の研修を修了することが必要です。

事業所内保育事業

事業所内保育とは、企業が従業員に対して仕事と子育ての両立支援策として実施している保育事業です。受け入れる対象年齢は、0歳から2歳とし、従業員の子ども以外も地域枠として1/4開放することが義務付けられています。

19人以下の小規模保育事業のものから、20人以上の多くの子どもを受け入れる保育事業まで、さまざまな施設があるのが特徴的です。

19人以下であれば、保育士設置基準が小規模保育園と変わらないのですが、20人を超えた施設の場合、働く保育士は全員保育資格が必須です。また、職員数も認可保育所の基準と同じとなっています。

受け取れる助成金が事業規模によって異なり、設置費や増築費などは、大企業であれば1/3、中小企業であれば2/3と違いがあるので注意して下さい。また、職員一人あたりの助成金も大企業と中小企業で変わってきます。

居宅訪問型保育事業

保育が必要な乳幼児の居宅において、家庭的保育者が保育をおこなう事業です。

対象となる子どもは、原則として0歳から2歳で、下記のいずれかに該当すると市町村長が認めたものとなります。

①障害、疾病等の程度を勘案して集団保育が著しく困難であると認められる場合

②保育所の閉鎖等により、保育所等による保育を利用できなくなった場合

③入所勧奨等を行ってもなお保育の利用が困難であり、市町村による入所措置の対象となる場合

④ひとり親家庭の保護者が夜間・深夜の勤務に従事する場合等、保育の必要の程度及び家庭等の状況を勘案し必要な場合

⑤離島その他の地域であって、居宅訪問型保育事業以外の地域型保育事業の確保が困難である場合

※厚生労働省のHP「居宅訪問型保育事業の概要」より

職員の数は子ども1人に対して保育士1人とされ、保育士資格は必須ではありません。しかし、必要な研修を修了した上で、保育士と同等以上の知識及び経験を認められることが必要とされています。

認可を取り消された事例

せっかく保育事業を認可されて、補助金をうけられるようになっても、認可を取り消されてしまったら困りますよね。しかし、実際に認可を取り消されてしまったという事例も、実は存在します。

2017年6月に、学校法人森友学園系列の社会福祉法人肇國舎(ちょうこくしゃ)が運営する認可保育園「高等森友学園」の業務停止命令を受け、休園中に改善することを命じたが改善が見られずに認可を取り消されたという事例があります。

理由としては、人員不足だったそうです。

保育事業において、一番ネックとなるのは保育士を集める部分。働いてくれる保育士さんをどうやって集めるかが、保育事業を運営するための鍵となっています。

まとめ

認可保育園といっても、種類はさまざま存在しています。

今回は、私立や公立だけでなく、新しい形の認定こども園や、今まで認可外とされていた地域型保育事業などを消化しました。

それぞれの特徴や、基準を考えて、運営したい保育所をどうするか検討する材料になれば幸いです。

PAGE TOP