そのままの自分でいい——ぎゅぎゅっとハッピーが届ける笑顔の連鎖

「保育士として、いつも子どもを優先しなきゃ」「弱音を吐かず、笑顔でいなきゃ」と思いながら、気づけば自分のことを後回しにしてしまう…。そんな風に感じたことはありませんか?

でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。あなた自身が笑顔でいられることが、子どもたちや仲間の笑顔にもつながるものです。

この記事では、「もっと自分らしく」「もっとポジティブに」保育の仕事を続けるためのヒントをお届けします。

「ぎゅぎゅっとハッピー」は、自己受容を大切にした研修やメンター制度を通じて、保育者が「そのままの自分」で輝ける環境づくりをサポートしています。今回は、ぎゅぎゅっとハッピーの研修担当・保坂明美さんに、「ありのままの自分を受け入れる保育のあり方」について伺いました。

保坂明美さん

株式会社ぎゅぎゅっとハッピー 保育事業部 総合企画課 研修担当 幼稚園教諭を7年間経験し、自身の2人の子育てを経て保育士として復帰。

企業主導型保育園の園長に就任し、離職者ゼロの職員が輝ける職場環境を実現。 ぎゅぎゅっとハッピー研修認定講師として研修を担当する他、園長メンターとしても活動。

さらにはNPO法人日本子育てアドバイザー協会「認定子育てアドバイザー」として活躍するなど、幅広く保育や子育て支援に取り組む。

子どもを取り巻くすべての人の幸せを実現したい──ぎゅぎゅっとハッピーとは

Q保坂さんは、現在ぎゅぎゅっとハッピーでどのような活動をしていますか?

保坂さん:

私は「ぎゅぎゅっとハッピー研修」の講師を担当しています。全国各地の幼稚園や保育園を訪問し、チームワークを高める対話型の研修をお届けしています。

他にも、園運営の支援を行う「園長ハッピーメンター」や、親子イベントの企画・運営などを通して、ハッピーを広げています。

Q.ぎゅぎゅっとハッピーとはどのようなサービスを提供する会社ですか?

保坂さん:

私たちぎゅぎゅっとハッピーは、「子どもを取り巻くすべての人の笑顔」を願い、保育士の研修プログラムや親子イベントの開催をはじめさまざまな取り組みを行っています。

①保育施設向け研修プログラム

保育園・幼稚園・認定こども園向けに、アクティブラーニング型の研修プログラムを提供しています。対話を重視した研修を通じて、チームワークを深めるとともに、子どもたちの自主性や豊かな人間関係を育む環境づくりをサポートします。

②園長先生向けメンター制度

園長としての私の経験を活かして、園長先生のメンターとなり、園のマネジメントの支援を行っています。悩みや理想を共有しながら伴走し、解決策を共に考えます。園長同士がつながり、安心して相談し合えるオンラインコミュニティも運営しています。

③親子イベント

保育園や幼稚園の枠を超えて、親子で楽しめるイベントを、ショッピングセンターなど全国各地で開催しています。ダンスプログラムや親子のふれあいを深めるプログラムなど、大人も子どもも一緒に楽しめる多彩な内容を提供しています。

Q.保坂さんはもともと保育士さんだったそうですが、どのような経緯で講師をすることになったんですか?また、ぎゅぎゅっとハッピーの活動には考えや背景がありますか?

保坂さん:

私自身が、もともと「ぎゅぎゅっとハッピー研修」を受ける側だったんです。研修を受ける前は、保育者として働く中で、親と子、先生と親、先生同士の間にすれ違いや誤解が生じ、互いにネガティブな気持ちになってしまうような場面を何度も目の当たりにしました。ある日の出来事が印象に残っています。お休みの日に子どもを保育園に預けに来たお母さんについて、後から先生たちが「せっかくお母さんがお休みなんだから、お子さんのためにおうちで一緒に過ごしてあげればいいのに」と話している場面がありました。

子どもがお母さんと一緒に過ごしたいという気持ちを知っているからこその言葉だと思いますし、長時間勤務で疲れ切っている中ででた言葉だったとも感じました。一方でお母さんの立場を想えば、ほんの少しでも息抜きをしたい気持ちがあったかもしれませんし、決して甘えではないと思います。

お母さんも先生たちも、みんながそれぞれの立場で精一杯頑張っている。そんな中で生じるすれ違いを見て、「どうすればみんなが幸せになれるのだろう」と考えては、その答えを見つけられずにいました。

そしてぎゅぎゅっとハッピーに出会い、研修を受けた時、その答えのひとつが「まず自分に優しくすること」だと教わり、それがとても大切なことだと学びました。誰かに優しくするには、まず自分が心から笑顔でいられることが大切。子どもたちが笑顔でいられる環境は、先生や保護者をはじめとした大人たちが笑顔でいられる環境でこそ生まれる。一見当たり前のことのように感じますが、意外と実践するのが難しいものです。

このような体験があったからこそ、講師として「子どもを取り巻くすべての人が笑顔になる」ことを目指しているんです。

対話に特化しているからこそできる本当に現場で活かせる研修

Q.「ぎゅぎゅっとハッピー研修」の具体的な内容を教えてください。

保坂さん:

ぎゅぎゅっとハッピー研修の最大の特徴は、①対話型②明日から活かせる、そして③楽しいの3つです。

例として、「自分らしい保育の見つけ方」というプログラムをご紹介します。まずは、ワークシートの中にある「30個の価値観」の中から直感で自分の価値観に合うものを3つを選びます。次に、グループで輪になって発表し、「なぜそれを選んだのか」についてお互いに質問し合います。最後に、話し合った内容を踏まえて、「その価値観を大切にするには、明日からどんな保育ができるか」といったことを話し合っていきます。

このような流れで、まずは自分自身と向き合い、参加者同士で対話を重ね、そして具体的な行動につなげるまでが一つの研修です。

Q研修を通してどのような変化が生まれますか?

保坂さん:

ぎゅぎゅっとハッピー研修を受けていただくことで、お互いが大切にしている価値観に気づき、日頃のコミュニケーションが活性化し、より良い環境で働き続けることができると考えています。

研修では、普段とは違う特別な、そして楽しい雰囲気の中で、自分の想いや考えを、自由に共有していただきます。普段の忙しい業務の中で遠慮してしまっていた人が沢山発言したり、普段なかなか意見が合わない先生同士が「実は根本的な価値観は同じだった」と気づいたり、様々な発見があります。

この研修の中で一番大切なのは、自分の考えや想いに気づき、それが受け入れられる経験です。「今のままの私でいいんだ」「周りの人も同じように悩んでいるんだ」と気づくことで、今の自分を否定せず、「もっとやりたい」という気持ちが芽生え、主体的に前向きな気持ちで日常の保育に向かっていっていただけます。

ありのままの自分を受け入れることから変化が始まり、笑顔で働ける環境が生まれていくのです。

そして、お互いに自分自身を受け入れられるようになることで、先生通しの繋がりや風通しが良くなったという声も沢山いただいています。自分の意見が言いやすくなったり、お互いに前向きな声がけができるようになったり、職場全体のチームワークにまで変化が起きていくんですよね。

Q.保坂さんご自身も、研修を受ける側だった時、良い変化があったということでしょうか?

保坂さん:

「ぎゅぎゅっとハッピー」に出会って、本当に救われました!

以前の私は、周りの目を気にして、いつも自信がなかったと思います。園長をしていた頃は、現場の先生たち、保護者の方々から「良い園長」として見られるよう常に意識をしていました。例えば、園について保護者の方からのご意見をいただくと、まるで「自分自身が否定された」ように感じて自分を否定してしまうこともありました。

当時もさまざまな研修があり、自分自身の考えや価値観を振り返るような内容も沢山ありました。しかし、研修を受けると「研修で言われたように、今の私は気持ちをコントロールできていないんだ…」と、研修の内容すら自分を否定する材料にしてしまったんですよね。

しかし、ぎゅぎゅっとハッピーの研修を受けると、「まずは今の、そのままの自分をぎゅーっと抱きしめましょう!」って言われたんです。その時は衝撃的でした。「え?今の自信のない私のままでいいの?」と耳を疑ったんですよね(笑)。

研修を受けていく中で、「自分の存在そのものに価値がある」と気づくことができました。「生きているだけですごいことをしているんだから、できない自分も含めて今の自分が100点満点花丸なんだ」と思えるようになったんです。

それから、「園長として~~しなければならない」という考えから、「まずは今のままで100点!次に、120点の自分になるためには何ができるかな?」と目標を高く持てるようになったんです。また、保護者の方からご意見をいただいたとき、園長としての自分が否定されている訳ではなく、「園長」という自分の役割に向けられたものだと捉え直せるようになりました。そう考えることで、自分を大切にする時間をつくったり、周囲に頼ったりすることも以前よりできるようになりました。

今では、「私のこの経験を沢山の人に伝えたい」という気持ちで、全国各地で研修を行っています。園長メンター制度を使って、もっと多くの園長先生の心を楽にしたいし、園長同士が繋がることができるコミュニティも作りたいと思っています。

あなたは一人じゃないし自分を否定する必要はない

Q.ぎゅぎゅっとハッピーの活動を通して、どのような未来を実現したいと考えていますか?

保坂さん:

そうですね。「子どもと関わりたい」「保育をしたい」とう思いで保育士になった1人でも多くの人が、「保育が好き」という気持ちでい続けられたら良いなと思っています。私はこれまで、仕事の大変さや周りの人間関係を理由に、保育が嫌いになって、保育士を辞めてしまうというのを沢山見てきました。それは、とても悲しいことだと思います。

そのために、ぜひ多くの園にお伺いして、「コミュニケーションが取りやすい環境」「保育に関わる全ての人が支え合える環境」をつくるお手伝いをしたいと考えています。もし自信が持てなかったり、コミュニケーションがうまく取れなかったり、「こうしなければならない」という義務感に押しつぶされて疲れてしまっている人がいれば、まずは抱きしめて、「あなたは今のままで素晴らしいんだよ」と伝えたいと思います。そして、保育士という職業が子どもたちにとって「なりたい職業」「憧れの職業」になってくれたら嬉しいです。私たちの活動を通じて出会った保育士さんを見て、子どもたちが「あの先生みたいになりたい!」なんて思ってくれたら、それは本当に素敵なことだと思います。

Q.最後に、保育者/保育事業者の方に向けてメッセージをお願いします

保坂さん:

まずは皆さん、ご自身をぎゅぎゅぎゅーっと、抱きしめて下さい!今できていないなと思う自分も、ダメだなと思う自分も、もう、そのままで全然大丈夫!!誰かと比べたくなるけど、そのままのあなたが素敵です。

あなたの存在そのものが、誰かを笑顔にしているんです。もしあなたが朝元気に「おはようございます!」とあいさつをすれば、忙しさでちょっと沈んでいた空気がぱっと明るくなるかもしれません。その元気な挨拶やきらきらと輝く笑顔を見るだけで、お子さんが泣いて大変なお母さんがほっと安心するかもしれません。遅刻はしませんという方、あまり風邪を引きませんという方、ピアノが得意ですという方、名前を覚えるのが得意ですという方、とにかく子どもが好きですという方、まずは今あなたがあなたらしくいることを大切にしてください

もし、何とかしなくちゃいけないと悩んでいる方がいたら、1人で抱え込まないでください。いつでもあなたをぎゅぎゅっと抱きしめに行きますからね。

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